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2012年03月30日(金)

この街のドキドキを新たに仕掛ける「吉の素(kichi no moto)」シリーズ1

この街のドキドキを新たに仕掛ける「吉の素(kichi no moto)」シリーズ1
吉の素の取材で映画に対する熱い思いを語る松江さん。
おふくろ屋台で仕事をしながら、吉祥寺について話す松江さん。

吉祥寺は相変わらず人気の街です。
この街のどこに人は魅かれるのでしょう。
そもそも、この街らしさってなんでしょう。
この街のドキドキを新たに仕掛ける「吉の素」を追うシリーズ。
第1回目は「吉祥寺で映画を撮ろう!」を主宰する松江勇武さんです。

吉祥寺の街を映像で残したい
いろんな人を巻き込んで・・・

映画少年、だったわけではない。

子供の時からひたすらサッカーボールを追いかけていた少年の夢は、プロのサッカー選手になることだった。中学から親元を離れ、サッカー強豪校に入る。

けれど、ずっと目指していたものにどうしても自分の力が届かないとわかった時、松江少年の心は折れた。

そこから、何か夢中になれるものを探す旅が始まる。

大学時代はバンドでベースを担当。卒業してからは、テレビの制作会社に勤めたが、高校時代の恩師が川崎フロレンターレにいたことから、広報などの手伝いをすることになる。

いつも、偶然の人との出会いで、また違う枝がのびていく。

店をやることになったのも、その1つの枝だ。

8年前、たまたま、吉祥寺駅前ハモニカ横丁に空き店舗が出るので、店をやらないかと知人に誘われた。以前居酒屋で仕事をしていたことがあったし、母親が四国の高松で長年喫茶店をやっていた。そこで出していた料理の味には定評があった。

母の協力を得て、「おふくろ屋台」を始めた。自由に発想する母親の惣菜と、一般家庭の居間のような店の雰囲気もあいまって、今やハモニカ横丁の人気店となっている。

さらに、ここでまたひとつの偶然が。たまたま吉祥寺に越して来た映画監督が松江さんの店にやってくるようになった。音楽をやっている松江さんは、制作の手伝いをすることになり、ロケ地の相談をされた時、吉祥寺で映画を、という発想が生まれた。そこから松江さんは「吉祥寺で映画を撮ろう!」という会を立ち上げ、映画のプロデュースをすることになる。

第一作目の「セバスチャン」(宮田宗吉監督2010年)第2作目「あまっちょろいラブソング」(宮田宗吉監督2011年)は、いずれも吉祥寺になじみのある人ならば、「あそこだ」というようなところばかりがロケ地になっている。

そして、今回公開される「あんてるさんの花」(宝来忠昭監督)はオール吉祥寺ロケ。今年5月にはドイツのハンブルク日本映画祭への出品、また6月16日には吉祥寺バウスシアターでの劇場公開が決定、以降全国の映画館での公開が予定されている。

松江さんの仕掛けは映画だけにとどまらない。第3日曜日にハモニカ横丁で仲間と共に、朝市を開催している。横丁の各店はもちろん、シャッターの閉まった店の前では、八百屋あり、小物あり、にぎやかに、かつちょっと不思議なものも出店されている。戦後闇市時代を知る横丁の店主から、地元農家の若手後継者まで、ここには市民も自由参加できる。

「この町を映像で記録しておきたい。市民も参加してもらえるような、映画の寺子屋をやって、街のいろいろなスポットを一緒に残していきたいんです。例えば、取り壊しが決まっている前進座など、面白いというだけではなく、消えていくこの街の風景を撮影して、何年後かには社会の財産となるようなものを残したいんです」

かつて、心の折れた松江少年は、今、この街をグランドにして、夢中で走っているように見える。何を追いかけるべきなのか、松江さんの好きなこの街が、出会った人が教えてくれる。

取材・文 宮島佳代子

松江勇武

1976年生まれ香川県出身
吉祥寺ハモニカ横丁「おふくろ屋台」店主。
『ムサシノ吉祥寺で映画を撮ろう!』の活動を始める。
2009年『セバスチャン』2010年製作の『あまっちょろいラブソング』最新作『あんてるさんの花』は6月に公開.地域との信頼関係を築きながら進めてきた活動が認められ、最新作はフィルムコミッションや活性化協議会とも連動した動きに発展。有志が集まって映画を作る活動が、地域に貢献できる活動に育ちつつある。

「らしさ」に「戦略」を。FUBUKI

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